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学校法人 香川栄養学園 女子栄養大学出版部 −食と健康 暮らしのレシピ−

第3回 栄養価計算でよくあるまちがいと解説

監修 川端輝江 女子栄養大学基礎栄養学研究室教授
まとめ/『栄養と料理』編集部

栄養価計算は、「日本食品標準成分表」(食品成分表)の成分値に基づいて算出しますが、
実際に計算しようとすると、いろいろな疑問にぶつかります。
最終回となる今回は、「食品成分表」を使ううえで、よくあるまちがいと疑問点について解説します。

Q どの種類を選んだらよいかわからない

よくあるまちがい 国産牛≠使ったので、成分表の「和牛肉」の値を選んで計算した

→単に国産牛≠ニ表示されている肉は、一般に「乳用肥育牛肉」の値で計算します

 「食品成分表」では、牛肉は「和牛肉」「乳用肥育牛肉」「輸入牛肉」が掲載されています。
 和牛肉は黒毛和種や銘柄牛の肉、輸入牛肉はアメリカやオーストラリアから輸入された牛肉を指します。
 乳用肥育牛肉は乳用牛の肉を指しますが、国産牛≠ニいう表示で市販されていることが多いようです。
 銘柄表示のない国産牛≠フ肉は、「乳用肥育牛肉」の可能性が高く、この値を計算に用いるのが妥当でしょう。
 なお、一般に豚肉の場合は「大型種肉」、鶏肉の場合は「若鶏肉」の成分値を使います。食品の知識がなくても計算できるように、よく使う食品に印をつけた栄養計算ソフトもあります。表 「食品成分表」でどの種類を選ぶ?

*くわしくは、栄養計算ソフト「栄養pro」(女子栄養大学出版部)の公式ホームページをごらんください。
http://www.eiyopro.jp/ ←左のアドレスをクリックしていただくと、ごらんいただけます。
【この項、WEB編集部】

よくあるまちがい 豚カツ用肉の脂身をとり除いたので、「赤肉」の値を使って計算した

→肉の種類や部位に関係なく、厚みのある脂をとり除いた場合は、「皮下脂肪なし」(下図)の値で計算します

 肉は、種類や部位にもよりますが、牛や豚の多くで、「脂身つき」「皮下脂肪なし」「赤肉」「脂身」の成分値が掲載されています。
 「脂身つき」は、皮下脂肪も筋間脂肪もついた肉、「皮下脂肪なし」は、皮下脂肪は除き、筋間脂肪は含む肉、「赤肉」は、皮下脂肪も筋間脂肪も除いた肉のことです。
 なお、皮下脂肪とは、肉の外側についている厚みのある脂肪のことで、筋間脂肪は赤身肉の間にある脂肪のことです(写真)。
普通、調理で除くのは「皮下脂肪」なので、脂身を除いた肉のときは「皮下脂肪なし」の成分値を使います。
 私たちの食生活の中で、通常「赤肉」だけを食べることはないので、栄養価計算でこの成分値は用いません。
では、なぜ「赤肉」の値が掲載されているのかというと、「食品成分表」作成のための分析では、「赤肉」と「脂身」の成分を分析し、この2種から「脂身つき」と「皮下脂肪なし」の値を計算によって出しているからです。


「食品成分表」に載っていない食品は?

 「食品成分表」に載っていない食品は、類似の食品の値を用います。
『栄養と料理』では、たとえば「クミン」は「カレー粉」の値を用いるなどし、本誌収載の「栄養価一覧」ページで、その旨を明記しています。
 一方、特定の市販品の場合は、商品に表示されている成分値を使います。製造元の多くは、その商品の食品成分を分析しています。表示がなくても、問い合わせると答えてくれるところが多くあります。
 類似の料理のレシピを利用する方法もあります。
たとえば既製のチーズケーキは、お菓子作りの本などからチーズケーキのレシピを探し、そのレシピにある食材と使用量を参考にして計算に使います。

Q どの成分値を使ったらよいかわからない

よくあるまちがい レチノールの値を使ってビタミンAの量を計算した

→ビタミンAの算出にはレチノール当量の値を使います

 「食品成分表」のビタミンAの欄には、6つの項目があります。ビタミンAの化学名は「レチノール」ですが、ビタミンAの量として栄養価計算に用いるのは「レチノール当量」です。
 レチノール以外にも、体内でビタミンAに変化して働く食品成分――カロテノイドがあり、これを加味する必要があるからです。
 「食品成分表」には「α-カロテン」、「β-カロテン」、「クリプトキサンチン」の3種のカロテノイドの値があり、この3種をβ-カロテンの量に換算したものが「β-カロテン当量」で、「β-カロテン当量」をレチノール量に換算して加えたものが「レチノール当量」です。

Q ビタミンEの欄に4種の値が出ているので、全部合計した

→α-トコフェロールの値だけを用います

 4種のトコフェロールは、ビタミンEとしての作用の仕方が少しずつ違うので、単純に足し算することはできません。
 一方、血液や組織中に存在する大部分はα-トコフェロールで、日本人の健康を維持するために望ましい摂取量を定めた「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)でもα-トコフェロールについて算定されています。
 栄養価計算では基本的にはα-トコフェロールの値だけを使います。

Q 使用した食塩の量の合計を塩分量とした

→ナトリウムの量から食塩相当量を算出します

 食塩は、化学名を塩化ナトリウム(NaCl)といい、ナトリウム(Na)と塩素(Cl)が結合したものです。 体内では、ナトリウムイオンと塩素イオンに分解されて働きます。私たちの体に必須であり、また、とりすぎれば高血圧などの問題が生じるのは「ナトリウム」のほうです。
 ナトリウムは食塩として摂取することが多いため、食塩相当量で示されますが、実際には、食品そのものに含まれていたり、グルタミン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどとしても摂取されます。
 栄養価計算では、食事から摂取したナトリウムの総量を算出したうえで、食塩の量に換算し、これを「食塩相当量」、あるいは一般には「塩分」と呼びます。ナトリウム量から食塩相当量を換算する方法
 生活習慣病の予防のために塩分制限をしている人などは、「塩分」とは「塩の摂取量」ではないことに注意しましょう。


その重量、合ってますか?よくあるまちがい例

よくあるまちがい インスタントコーヒー「150g」
 「インスタントコーヒー」は湯にとかす前の粉末を指すので、湯にとかした、飲む分量を計算に使うのはまちがいです。このほか茶葉などもよくまちがえることがあります。 「茶」は茶葉を指すので、飲むお茶は「浸出液」の値を使います。

よくあるまちがい ひじき「30g」
 乾物は、もどすと重量が大きく増えます。ひじきの場合で約8.5倍です。 調理後の重量しかわからないときも、もどす前の使用重量を逆算するなど注意が必要です。 なお、「水戻し」の成分値が掲載されている乾物(わかめなど)では「水戻し」の値を使います。

よくあるまちがい 塩「5g」
 塩は調味だけではなく、野菜をしんなりさせるための塩もみなど、下処理に使うことも多くあります。 レシピの分量が小さじ1(5g)でも、下処理に使う場合は、実際に口に入る量を計算に使います。

よくあるもれ 調味料と油
 栄養価計算は、素材だけでなく、煮物なら調味料を、揚げ物なら油を計算に含めることを忘れずに!

おすすめの一冊 『調理のためのベーシックデータ』(女子栄養大学出版部、税込1890円)乾物をもどしたときの重量変化率や下処理のさいの吸塩率、揚げ物の吸油率など栄養価計算に役立つデータ集

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