第8回 食品安全性〔○×〕クイズ-その2-
第7回に続いて、食品の安全性に関する○×クイズをしてみましょう。
今回も、問題は5問です。ぜひ、挑戦してみてください。
このページを印刷して「答え」の欄に○か×を記入して使うこともできます。
6.わが国の食品中の残留農薬について、最大基準値(MRL)が設定されていない場合は、一律基準が適用される。
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【解答】
2006年5月、食品中に残留する農薬、飼料添加物及び動物用医薬品に関してポジティブリスト制度が施行されました。以前は、残留基準が設定された農薬等のみを管理していました。つまり、残留基準が設定されていない農薬等は、食品中から検出されても規制されていなかったわけです。
しかし、ポジティブリスト制度では、残留基準が設定されていない農薬等については、健康に影響がないとされる一定濃度を超えて残留してはならないと定められました。この一定濃度というのが、一律基準(0.01ppm)なのです。
他国では、カナダ及びニュージーランドで0.1ppmが設定されており、2008年9月になると、EUでも0.01ppmの一律基準が適用されるようになりました。
余談ですが、一律基準の意味合いを示す英語は、わが国の厚生労働省はUniform Limit、EUはGeneral Default、カナダはGeneral Maximum Residue Limit、ニュージーランドはDefault Level、Default Limitなどと表記されているようです(他にもご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください)。つまり、一律基準についての英語の共通用語はないのですね。
◆参考:分野別施策[食品中の残留農薬等] (厚生労働省ホームページより)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/index.html
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ADI(Acceptable Daily Intake)は慢性毒性の指標で、一生涯摂取し続けても有害な影響がでない一日摂取量のことです。一方、24時間又はより短時間で摂取した場合に有害な影響がでない摂取量は急性参照量(ARfD:Acute Reference Dose)と言って、急性毒性の指標です。
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JMPR(FAO/WHO合同残留農薬専門家会議)は、残留農薬に関して国際的なリスク評価を行う機関です。一方、残留動物用医薬品をはじめ食品添加物、香料、汚染物質に関する国際的なリスク評価を行なう機関は、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)です。
日本では、政策などについて農薬と動物用医薬品を一緒に議論することもあるので、これら2つはセットのように感じることがあるでしょう。しかし、国際的なリスク評価は、残留農薬はJMPR、残留動物用医薬品はJECFAで行われるので、お間違えのないように。
ちなみに、微生物の分野では、JEMRA(FAO/WHO合同微生物学的リスク評価専門家会議)で国際的なリスク評価が行われています。
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9.コーデックス食品規格の作成についての議論は8段階(ステップ)で行われる。
正解:○
コーデックス食品規格の作成議論は8段階(ステップ)で行われますが、各ステップの内容については、農林水産省のホームページに掲載されています。
◆参考:コーデックス食品規格作成ステップ(農林水産省ホームページより)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/codex/step.html
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ご覧いただけましたか。でも、これだけですとイメージが湧きにくいと思いますので、1つの例としてメラミンの最大基準値の作成を取り上げてみましょう。
ただし、このコラムの第3回目でもお話ししたように、メラミンは前代未聞のスピードで最終採択まで進んだということはご承知おきください。
まず、2009年の第3回汚染物質部会(CCCF)では、“食品及び飼料中のメラミンの最大基準値の設定”を新規作業とすることが合意されて、同年7月のコーデックス委員会の総会で承認を得ることになりました。
そして、その総会で、新規作業として規格作成を行っていいですよというOKをもらいました。
⇒ステップ1
次に、カナダを議長国としたワーキンググループを設立し、規格原案を作成しました。
⇒ステップ2
さらに、2010年の第4回汚染物質部会の前に、各加盟国のコメントを公募しました。
⇒ステップ3
そして、第4回汚染物質部会で規格原案を検討しました。
⇒ステップ4
このステップ4において、規格原案が合意されると、通常は、この規格原案をステップ5として同年の総会でも採択してくださいとお願いすることになります。総会で規格原案が採択されると、その規格原案にもとづいた各加盟国のコメントをもらい、担当部会でさらに議論が行われます。これがステップ6、ステップ7となります。
ところが、ステップ5の時点ですでに議論も出尽くして、もうひとサイクル(ステップ6、7)議論する必要はないと担当部会の参加者が考えた場合には、飛び級制度を活用できます。
メラミンは、この飛び級制度が適用されたのです。
メラミンの食品規格作成では、ステップ5の際、ステップ6(再度加盟国からのコメントをもらう)、ステップ7(次回の汚染物質部会での議論)はもう必要ないので省略し、ステップ8として最終の採択をしてくださいと総会へ提出したのです。これを、5/8(5と8の間は省略しましたという意味)で採択されたと言います。
つまり、通常なら規格原案を作成する際も、作成後も、規格原案のこの部分はおかしいなどと言って、各参加国が延々と議論を重ねていくのが通例なのですが、メラミンの場合は規格原案の作成があっという間に終了し、その後の議論も省略されたために前代未聞のスピード採択になったのです。
ただし、液体の乳児用調製乳中のメラミンについてはステップ3に留め、各加盟国のコメントを求めた後に、次回の汚染物質部会で議論が行われるようです。
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メチル水銀の含有量は、魚の種類によって大きく異なります。厚生労働省の情報によりますと、メカジキ、キンメダイ、クロマグロ等は比較的多く含まれているので摂取量に注意が必要ですが、サケ、イワシ、タイ、ブリ、カツオなどは注意が必要でないとされています。
◆参考:厚生労働省ホームページ
「これからママになるあなたへ」
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/06.html
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◆総合参考資料◆
食品関係用語集(厚生労働省ホームページより)http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/glossary.html#r-04
食品の安全性に関する用語集(第4版)(食品安全委員会ホームページより)http://www.fsc.go.jp/yougoshu.html